第3回

5月19日、20日

1日目
小児の咬合育成 デモ 須貝昭弘

ゼミレポート

大学時代に咬合誘導という概念を学んだ覚えはありますが、いざ歯科医師になってみると、何かしらの異常に気づきながらも小児の咬合に積極的に介入できない場面が多くありました。その理由として、正常像と異常像の判断が曖昧で的確な診断ができないことや、その後の治療方針においても知識や技術が乏しいこと、そしてそれを裏付ける経験もないことにあると思いますが、これら全ての不安は一日を通して須貝先生の臨床を疑似体験させていただくことで次第に薄れ、ぼんやりと抱いていた臨床像と治療はより鮮明にイメージできるようになりました。

 不正咬合になる原因は萌出異常やディスクレパンシーの異常、習癖など様々ありますが、成長過程の中の各ステージおける正常像を理解することは極めて重要で、幼い頃から家族単位で口腔内を管理できるかかりつけ歯科医だからこそ気づける小さな異常もあります。そのひとつひとつをマイナスの少ない対応で正常像へと近づけることがポイントとなってきますが、特に切歯の交換期にレジン接着法や床矯正装置によって正被蓋に誘導することは審美的にも機能的にも良好な結果をもたらし、そのまま維持される場合は多いため、症例の選択や介入のタイミングが難しい場合もありますが、地域を支える歯科医師としての役割を果たすためにも前向きに取り組むべきだと感じました。

 「正常咬合になる正しい成長過程がある」という須貝先生のお言葉を常に意識し、今後は子どもたちの些細な変化にも目を背けず誠実に向き合っていきたいと心から思っています。

2011年度基本ゼミ卒業生 アシスタント 中西恵美


2日目
間接法の基本~適合の良い補綴物のための取り組み~ 斎田寛之

インレー・クラウンブリッジの形成と印象
前歯部修復におけるティッシュマネージメント 筒井純也

実習 模型の観察(受講生宿題) 個歯トレー・個人トレーの製作、印象採得  

ゼミレポート

第3回臨床基本ゼミ2日目は斎田寛之先生に「間接法について」、筒井純也先生に「インレー、アンレーの形成・築造など」ということで講義と実習をしていただきました。

私達は日々補綴物を作成する際に印象採得後は歯科技工士にあとは任せ、セットまで模型を見ることなく過ごしてしまうことが多いかと思います。そのため補綴物の仕上がり具合は全て技工士の責任となってしまうことが多々あります。しかし補綴物完成までには印象採得から始まり多くのステップがあります。そこで、出来るだけ調整量の少ない補綴物を作るために欠かせない、歯科医師と歯科技工士のコミュニケーションの取り方や診療室での注意点(印象用トレーの選択方法や咬合採得方法、セメントの選択など)などを斎田先生には教えていただきました。本来であれば歯科医師自身が技工操作に触れ、間接法ついての共通の知識を持つことが出来れば歯科医師と歯科技工士の良い関係が築けるのではないかと感じました。筒井先生には受講生から集めたインレーなどの模型一つ一つに対してコメントをいただき、また講義では前歯部修復のポイントを症例で示していただきました。実習では個歯トレー、個人トレーの製作とシリコン印象を行いました。歯科医師自身が簡単に作れるトレー製作法などを教えていただき、個歯トレーや個人トレーが身近に感じられ、実践しやすくなったのではないかと思います。

形成模型のチェックは自分が基本ゼミを受講した3年前もありましたが、形成の基本的な知識と技術をしっかりと身につけ、 患者さんの歯牙を切削するという行為にもっと真剣に取り組まなくてはならないと再確認いたしました。

2009年度基本ゼミ卒業生 アシスタント  林直也