6月16日 17日
1日目
保存治療の第一歩 下地勲
歯根膜の臨床 下地勲
エナメル質以外の歯、歯周組織は神経堤細胞由来 歯根未完成歯移植後の歯髄、歯周組織、付着歯肉の再生 移植後の歯槽骨壁の回復 エンド疑似歯周病罹患歯の治癒 髄床底穿孔歯の治癒 咬合性外傷の排除による歯周組織の改善
ゼミレポート
近年、抜歯が安易に行われている一方で、ではどのように歯牙を保存していけばいいのかに悩む歯科医師も多いのではないかと思います。
深い縁下カリエスや破折などの理由で抜歯されることは多いですが、ケースに適した挺出や骨切除を行うことで生物学的幅径を確保し、安定した歯周環境をつくることが歯牙保存の大きな第一歩となることを下地先生の症例を通して学ばせていただきました。また歯冠修復後のトラブルとして多い歯根破折やコア脱落を防止するためには、縁上に1㎜以上の健全歯質を獲得しタガ効果を付与させることや、コアの辺縁漏洩を抑制することが長期に機能しうる歯冠修復のポイントとなることを教えていただきました。
また、発生過程においてエナメル質以外の歯や歯周組織は外胚葉性間葉組織に由来し、歯小嚢からは歯根膜、セメント質、固有歯槽骨ができますが、その三者は臨床の様々な治癒過程において力を発揮することを教えていただきました。特に歯根膜がもつ再生機能や三位一体であろうとする恒常性維持機能、そして過大な咀嚼力から歯を守るセンサーとしての感覚機能にはまさに脱帽で、その力を臨床の中で引き出してあげることができれば、瀕死の歯牙をも活躍させることができるというような無限の可能性を感じました。
「歯の寿命は歯科医師によって変わってしまう」ことのないよう、歯根膜たちの力を借りて私も全力で歯牙保存に努めていきたいと思います。
2011年度基本ゼミ卒業生 アシスタント 中西恵美
2日目
再植・移植の導入 下地勲
意図的再植 外科的挺出 歯根未完成歯の移植 抜歯窩への直後移植 長い中間欠損 遊離端欠損
移植とインプラントの使い分け 甲田和行
移植とインプラントの使い分け 下地勲
歯を助けるインプラント 1本のインプラントで義歯沈下防止と鉤歯保護 残根挺出と1本のインプラントで歯列の回復
ゼミレポート
ゼミ2日目は「再植・移植をいかに導入するか?」という演題で下地先生甲田先生にお話して頂きました。
3年前、自分も基本ゼミで初めて下地先生の講義を聞かせて頂き、移植・再植の技術を身につける事で臨床の幅が大きく広がる事を知りました。
症例の難易度分類から手技、トラブルシューティングまで分かりやすく丁寧に教えて頂きました。
大学教授レベルのお話でも「5年で駄目になる」と言われる移植ですが、きちんとした知識と理論に乗っ取って処置を行えばかなりの長期経過が見込め、20年経過症例は当た前だとお話されていました。
天然歯はインプラントに比べ強過ぎる咬合力をコントロールし、移動することも可能で、自然な歯冠形態を作れるという大きな利点があります。
下地先生は以前より真のインプラント適応症例は少ないと言われています。
「年間1000本以上埋入を謳っている医院が多く見られる。それは恥ずべき事だ。それだけ天然歯を抜いてしまっていることに気付いていない。」という言葉が胸に残りました。
ゼミ生達にとっても、天然歯保存の大切さを再認識した素晴らしい2日間だったのではないかと思います。
2009年 基本ゼミ卒業生 関口寛之